スーパーアートライフ

日常、買い物、ガジェット、アイドル、音楽、ASローマあたりのことを書く日記です。陸マイラー活動でハワイ旅行とか遠征してます。子2人の4人家族。

初恋 - 中原みすず

昔世間を震撼させたらしい三億円事件を、実は女子高生が起こしたというお話。何とも現実味の無い話なんだけど、これは実話だよというスタンスの小説。映画化されて主役が宮崎あおいたむとのことで、表紙の大部分が隠れる程の大きさのあおいたん画像がプリントされた帯がついていて、つまりは脳内であおいたんを妄想したくて買いました。

初恋

初恋

三億円事件が目玉に謳われているけれど物語のスパイスの一つに過ぎず、初恋というタイトルの通り初恋で純愛の話。父親に死なれて母親に捨てられて養父母には冷たく当たられて…と孤立してるところで、あるきっかけがあってJAZZ喫茶にたまるようになって初めて情に触れて、それが恋だったということになるんだけれど、冗談抜きで宮崎あおいを思い浮かべて映像化して読むと…というより宮崎あおいが頭の中で映像化されてしまう感じ。後付にしては運命的過ぎるくらいぴったりでした。影があるんだけれど、そこには明るさがあって、その影の部分が薄れていく途中で持ちかけられた三億円事件
その薄れていく過程で一番大きい部分を占めていたのが、三億円事件を持ちかけた「岸」であるんだけれど、その岸のおかげで時効の無い喪失感を覚えてしまったのは、必然だけど、必然であるからこそすごいぐっとくるというか、程度の差はあるにせよ誰もが持っているある種の喪失感(楽しかった分だけ大きいよね)が思い出される。特に主人公のみすずの場合は、唯一であり初恋であり最初で最後になってしまった分だけ、喪失感が大きい。三億円を強奪するシーンでは、淡々と進みつつも切迫した雰囲気がずびしずびしと伝わってきて、ページをめくりたいけどめくりたくない!ってなる。
けれど、結局は最初に書いたとおりそれが街での万引きでもさして変わらない位三億円はさして重要じゃなくて、あくまでも初恋。読んだあとの喪失感は共有されるけれど、やっぱり初恋だけあってきちんとさわやかさも残るは残る。でも、寂しいは寂しいな。